気まぐれエッセイ@メキシコ

不定期に適当な文章をつづっていきます(現在バヨ中心)

音が合う快感

 昨日(金)は先生の都合でレッスンがキャンセルになってしまいました~。がっかりだけど、クロイツェルがまだまだ未熟なので、練習時間が増えてよかったとも言える?

 今のところ、Musescore(無料の多機能楽譜ソフト)に書き写したクロイツェル2番を流しながら、それに合わせて弾く練習してるんですが、テンポ50(♪=50)ならまあまあついていけるのに、60にすると、そんなに速いとも感じないのに、たいてい後半でコケて、戻れなくなってしまう……。たぶん譜読みがまだ遅くて、特にポジションチェンジで一瞬迷うと遅れてしまって、ということだろうと思います。ひたすら繰り返して、できるだけ覚えてしまい、迷わず弾けるようになるまで頑張るしかない!

 

 ところで、楽譜ソフトの音はピアノ音に設定して、クロイツェルの楽譜そのまま書き写しているので、単純なポンポンという音に合わせて弾くわけですが、このとき微妙な音程が合ってるのかどうか、自分では合わせるように弾いているつもりですが、いまいち自信がありません。そもそもそんなに音感よくないし。

 前にも書いたかもですが、私、音色には敏感なようです。で、ピアノのドの音とバイオリンのドの音、音色が違うので、違う音のように聞こえる、つまり音程が同じかどうかは、まずピアノのドに合わせて自分の声で歌ってみて、バヨのドに合わせても歌ってみて、それで初めて、あ、同じ高さだとわかる、というまどろっこしいことをしないといかん。少なくとも昔はそうでした。

 今は少しマシになったかな? 先生がピアノで音をくれて、それにバヨを合わせて弾くと、ちょっと低いかなとか、まあまあわかる(歌わなくても)。でもあくまで素人レベルで、これで合ったかなと思っても先生にもうちょっと高く(たぶん2,3セント)、とか言われることはあります。その程度の音感。

 なので、クロイツェルの音に合わせてるつもりでもどのくらい合ってるかはわからん……。

 

 そんな疑問を抱きながら練習しているうちに、思い出したことがふたつあります。

 まずは、メキシコ来て割とすぐにバヨ習ってたころのこと。当時15歳のバヨ弾く男の子がいまして、その子はもっと小さいころからちゃんとした先生にもついて習っててすごくうまかった。お姉さんはチェロ。その子たちも私のよろよろ先生が所属する文化会館で演奏してたので知り合って、カルテットやろうよ!と誘われちゃったんです。いやいやいやいや、何をおっしゃるウサギさん(古い? 卯年だからいいことにしてw)、そんなん無理に決まってるじゃないですか!と叫んだけど、大丈夫大丈夫、と言われて、小曲の楽譜を渡され、まあ音としては弾けないことはない、ちゃんと私のレベルに合わせた簡単な曲で、その子たちがうちへ来て合奏練習とかしたんですよね。その時点ではビオラなしだったけど。

 で、その子に教わりながら何度も合わせてたら、あるとき、音がぴったり合った! 男の子がファーストで私がセカンドで、どの和音だったかは忘れましたが、もうね、音が吸い付くようにぴったりと。おおお~!って思わずみんなが声を上げたくらいw(のレベルだったってことです私が、すいません) そのときの快感たるや、今でも忘れられません。

 音が合うってことは、ことほどかように快感であるのか、とそのとき初めて体感しました。もちろんそれまでに、世界的レベルの演奏者の音楽も(大半はCDとかで、ごくたまに生で)聞いて、その快感は知ってはいるつもりでしたが、自分の音が、っていうのはまた別。シモな喩えで恐縮ですが、エロビデオ見るのと実際にヤるのの違いくらい? エロビデオ見たことないので想像ですがw 

 このときは音が合って快感だったわけですが、これはバヨ同士だったから(+チェロもだけど、まあこれも音色としては似たようなもん)わかりやすかったのかも。これがピアノとバヨとかになると……どうなんだろう? まだ体験してないのでわかりません。

 

 思い出したもうひとつは、もっともっと昔の話。日本の大学にいたころです。当時、私はキリスト教の信仰に関していろいろと迷ってまして*1、入った大学にKGK(うろ覚え、たぶん、キリスト者学生会、だったかな?の略)*2というのがあり、入学してすぐに仲良くなった友人がそこに所属していたこともあり、答えが見つかるかもと入りました(見つかりませんでしたが)。

 で、あるとき、何かのイベントで(クリスマスとかだったかなあ?)4,5人+ピアノで合唱しました。聴衆は、大学の小さい教室に収まる程度で、20人くらいの小規模な集まりでした。私はいちばん端に立って歌ってたんですが、そのとき、どんなに頑張って声を出しても自分の声が聞こえない、という衝撃的な体験をしたんです。え、私、声出してる? 声出てる? 出てるよね? でも聞こえない、声出てないの??? と恐ろしく不安になって、つい音程を上げました。そしたら聞こえましたw もちろん、突拍子もなく外れた音程でw 

 歌ってた皆さんも聞いてた皆さんもずっこけたので、あ、ヤバいと慌てて元に戻してそのまま最後まで歌いましたが、自分の声が聞こえなかったのは音程がぴったり合ってて他の皆さんの声と溶け合ってたというか埋もれてたからか……。でも練習で歌ってたときはそんなことなかったと思うんですけどねえ?

 このときは、音が合っていたがゆえの快感じゃなくて恐怖体験、というお話。バヨも体に密着させて弾くので、骨に直接響いて自分には聴衆に聞こえるのと違ったふうに聞こえる(らしい)楽器ですが、それでも自分の耳元で、自分の体の外で鳴ってる音です。歌ってるときの声ってのは自分自身が楽器になって出している音なのに、それが聞こえないってのは、楽器が壊れたような怖さですかね。

 

 ところでそういえば、友人が来てるあいだにG線上のアリアの合奏もいちおう(あくまでいちおう)やったんですが……。だいたい私がファーストを弾いて、友人がフルートでセカンド。友人はまったく練習してなくてほぼ初見だったので、まずリズム合わせるところから。私がいつも練習に使ってたピアノ伴奏を流すと、それぞれがピアノに合わせてしまって、お互いの音を聞かないので意味がないということで、ピアノはやめてメトロノームで合わせました。

 ところが、私はさんざんレッスン受けて練習も何ヶ月もやって、完璧には程遠いけどそこそこ弾けるようにはなってたはずだったのに、友人と合わせてるとなんかピッチがずれてるようで気持ち悪い。ずっと、気持ち悪い。ピアノ伴奏がないから、自分の音が合ってるのかどうかわからん……。通して最後まで弾いてから、そのことを言うと、あ、ごめん、と友人。私はAを440Hzに合わせてますが、友人は普段442なんだそうです。

 で、バヨだと最初の調弦で440にするか442にするか、私レベルだとそれもわかんないくらい音程が揺れてるだろうと思いますが、プロなら合わせたほうの音程に指も合って、他の音もすべてそのピッチで鳴ると思うんですよね。それと同じでフルートも、管の長さで音程決まるんだから、最初に440に合わせたらずっと440の音が出るもんだと私は思ってたんですが、そういう単純なものではないらしくて、息の吹き込み方(力加減?)でピッチは変えられるらしい。そういえばケーナも、同じ指遣いで息の強さで1オクターブ上2オクターブ上を出したりしますねえ。

 というわけで、即興の合奏ではそんなところから問題になっちゃうのでした。うまい人同士なら、それでもちゃんと相手に合わせられるんでしょうが、私はひたすら自分の演奏しかできないレベル、友人はそれよりはかなり上とはいえアマチュアだし、ほぼ初見でまずリズム合わせるのに必死というレベル、では、そんな細かいところまで気を配るのは無理だった……。それでも何度かやってるうちに、だんだん音程は合ってきてたとは思いますが、人さまにお聞かせできるレベルにはなりませんでしたw

 

 さて、クロイツェル、楽譜ソフトの長所で、楽器を切り替えるとピアノ音もすぐに(疑似)バヨ音にできる。まあ正直、バヨの電子音ってひどいもんですが、ピアノよりはずっと鳴っているので(一音ごとに減衰しない)、そっちの方が合わせやすい、というか、ずれてると気付きやすいかな。

 これで次のレッスンまでに、何とかテンポ60でも最後まで落ちずに弾ききれるよう、練習していきます。

 

 音合わせならぬ、背中合わせの母娘猫。

*1:洗礼を受けたことはないけど、小学生から割とキリスト教の学校に通った時期が長くて、幼いころは素直に信じてたのが、興味が自然科学へと傾くにつれ、その齟齬に悩んで、当時中学はミッション系だったのに、その疑問に明確に答えてくれる人がいなかったので、それ以来ずっと引きずってた

*2:当時、高校時代の友人たちからは、KGB!?とか言われましたw あのころはKGBってカーゲーベーと読んでたんですが、今はケージービーなんですね、ってことを最近知って衝撃だったw