昨日書いたモンゴルのロックグループ、ザ・フーですが。いろいろ面白くて、でもやっぱり特に馬頭琴が面白くて。
昨日は奏法にばかり気を取られてたんですが、作りはどうなってるんだろ、とかも気になり始めて。ウィキによると、
モリンホールは先端が馬の形を模した棹と、四角い共鳴箱、2本の弦から構成される。弦を支える駒が上下にあり、音程の微調整にも利用される。本体は木材を用いる。本体の共鳴箱や棹の材質は製作者によって異なるが、内モンゴルではエゾマツやシロマツなどの松材を用い、モンゴル国ではシラカバを用いる場合が多い。旧来は共鳴箱の表にヤギや子ラクダ、子馬などの皮革を張っていたが、モンゴル国では1960年代にソ連の楽器職人D.ヤローヴォイの指導により、内モンゴルでは1980年代になってB .ダルマーやチ・ボラグらが中心になって、木製の表板を用いるように改良が加えられ、さらにf字孔や魂柱などの要素も加わった。弦と弓はウマの尾毛またはナイロンを束ねて作る。ウマの尾毛の場合、低音弦は100-130本、高音弦は80-100本、弓は150本-180本程になる。
とのこと。
まず共鳴箱は、今は完全に木製だけど、昔は三味線や二胡のように動物の皮を使っていたのが、変化したということ。日本語で馬頭琴を検索すると、ほぼ出てくるのが『スーホの白い馬』で、馬頭琴の起源となる民話(という触れ込み)で、殺された愛馬の体を使って作った楽器というので、皮を張るのはまあ自然なことかな。でも今は、動物を使わないのは、私としてはよかったと思える改変。
そして、f字孔には気付いてました。ギターやマンドリンみたいに真ん中に丸い穴が開いてるものもあるみたいだけど、f字孔ってのが面白い。そして、魂柱も付け加わったというのは、やはりバイオリン系からの逆輸入?
弦も馬の尻尾の毛を使ってるのか! というのはびっくり。バヨの弓の毛は今でも馬の尾の毛を使ってますが、馬頭琴もそれは同じらしく、松脂を塗るのも一緒みたい。しかし弦までとは……。
しかしYouTubeで見てたらこんな動画があり。ザ・フーのメンバーの楽器紹介動画です。
最初のほうの左下に英語で説明が出てるんだけど、それによると(抜粋)、
ボディとネックは木製。
弦は、シカかヤギ(マウンテンシープ)の腱を乾かしたもの。
弓はヤナギの木に馬の尾の毛を張って、カラマツか杉の木の脂を塗ってプレイする。
とあります。弦は、シカかヤギの腱? バヨの弦も、今はスチールやナイロンを使うものが多いですが、上等なのになるとガット弦(羊の腸)は今でもあります。耐久性に劣るようですが、音色が柔らかく表現力が高いとかで、プロで愛用する人も多いらしい。私はもちろん使ったことないですけど。
というわけで、構造がかなりバヨに近いんだなあと。音域や演奏の姿勢などを見るとむしろチェロかな。「草原のチェロ」の異名もあるらしいし。
それから、こちらの動画。同じザ・フーの人ですが。
気になるのは右奥に見えてるでっかいやつ! それどんな音がするの~? それ弾いて~!と言いたいw
こちらの曲も、最後に馬のいななきを模しているらしいブヒヒヒ~~ン!が入ってて面白いねえ。曲自体も、草原を馬の群れが疾走してるような感じだし。
そして、ザ・フーでは一挺じゃなくて二挺の馬頭琴を使ってる曲も多くて、赤い馬をかたどったやつは、ファイアーレッドホースヘッドフィドルというらしい?
こちらは、何かの番組で披露した演奏のようで、共鳴箱の部分があまり見えないのが残念だけど、演奏は見事! いやすごい。それと、弦のわりと上のほうを触りつつもけっこう高音を出したりしていて、ホントどういう仕組みなのか、たぶんホーミーと同じように、絶妙なところで倍音とか出してるんかなとは思いますが……。昨日貼った動画で、鳥の声みたいに高音がちらちら入ってたのも、これかなあ?
チェロとの比較動画もありました!
しゃべってるところが長くて、英語なんでよくわからんし、適当に飛ばして聞いてましたが、このお兄さんは、馬頭琴の弦は馬の毛だと言ってる? いろんな動画見てると、確かにペグボックスのとこに馬の毛がバラバラのままはみ出してるのもありますね。チェロのお姉さんはガット弦だと言ってます。
で、5分半くらいからお姉さんがチェロで有名な曲(何だっけ?)の一部を弾き、モリンホールのお兄さんがそれを模倣。高音になるとちょっと苦しいところもありますが、だいたい弾けるので、では合奏! いい感じ~。
ちなみに、このお兄さんの楽器では、上にも駒があるのがはっきり見えますね。途中のおしゃべりで、チェロのほうは18世紀のものとお姉さんが言ってて(たぶん)、お兄さんのモリンホールは1年しか経ってないとか。モダン楽器なんだな。
で、こちらは楽器紹介の動画で、
最初、普通のモリンホールを見せてくれますが、50秒くらいから何やらキッチンのザル?を取り出し……昔の楽器がどうやって作られたかの説明? で、古楽器らしき丸い馬頭琴(動物の皮が張られている)を弾いてくれます(1分10秒くらいから)。う~ん、これもいい音だなあ。
さて、2分20秒くらいから、実際の演奏についての説明ですが。弓はまあバヨみたいなもんで、と、このお兄さんも言ってますが、左手はまったく違っていて……人差し指と中指は、指先を指板の上に置いて弦を横から触る、薬指は弦の上に置くだけ(弦は押さえてもほとんどたわまない感じ?)、小指は弦の下をくぐらせて横から指先を弦に当てる、というふうになってるそうです。
そして最後にチラッと、ハーモニクスと言ってる? これはバヨで言うところのフラジョレットだろうけど、うーん、そこをもうちょっと詳しく解説してほしかったなあw
モリンホール作成の動画はこちら。
短いしよくわからんとこもあるけど、とりあえず。魂柱入れてるのか見たかったなあ。
あ、チェロとの本気デュエットもあった。けど、えーと、よく知ってる曲なんだけど、何だっけね、これ? でもこんな完全西洋クラシック音楽を、まあそれでも馬頭琴で弾きこなしちゃう北大路欣也みたいなおじさんすごいってことなんだろうけど……。
うーん、やっぱ、もっとモンゴルらしい音楽がいいなあ。と、結局ザ・フーに戻ってくるのでありました。
と、ここできれいに終わってもいいんだけど
ちょっとだけバヨの話
馬頭琴の音楽をさんざん聴きながら、バヨの練習時間だ~、と楽器を出してきていつもの練習始めたんですけどね。
私のバヨ(スズちゃん)、昔っからG線にびりつきの雑音が入るのが不満でした。私のせいかなあと思いつつ、いろいろやってもダメで、でも先生が弾いたらそんなでもないし(まあ少し雑音あるかな、でも個性の範囲、と先生は言ってた)、弾き方が悪いか、耳元だけで聞こえる雑音か……とやや諦めてたんだけど。
ちょうどここ何週間か、きれいな音出す練習に集中してて、そして馬頭琴の演奏を聞いてると、こんだけぶっとい弦をぶんぶん鳴らして、低音響かせてすごいなあ、ってのがあって。
で、練習しながら思ったんですが、太い弦はよく振動する。だからこそ共鳴もよくするし、残響もあって好きなんだけど、そもそもきれいな音を出すのが難しい……。これって、振動が大きいから弓の圧にもっと気をつけないと、その振動を殺してるってことだよね?
猫を撫でるように~、とかのあたりから、スズちゃんでも割ときれいな音が出せるようになってきたとは思ってたんですが、それがだんだん安定してきたというか、まあ慣れた曲なら、かなりの確率でいい音出せてる気がする。で、G線も、他の弦に比べれば難しいけど、前よりはマシになってきた。なんか、日によっていい音出るときと、そうでもないときとあるんですけどね。
昨日のレッスンでも言われた細部への細心の注意を払いつつ練習してると、スズちゃんでもいい音出るやん~! 前から、もうちょっといい楽器ほしいな~日本でいいやつあったら買っちゃおう!とか夢見てたけど、なんか今のところ、スズちゃんで私には充分な気もしてきたりw
ぶっちゃけますが、スズちゃん単体で8万円でしたけどねw じゃあ80万の楽器なら10倍いい音がするんだろうか? うん、もしかしたら10倍どころか30倍くらいいい音するのかもしれないけど、それを私が引き出せるかどうかだよなあ。そこに至るまではまだまだ。なんしろG線の雑音克服するまでに一年半かかったわけですからw
バヨって、そこそこ弾けるようになるのに10年かかる、とか、よく言われるらしいですが、納得納得。馬頭琴のぶんぶんと心地よい低音を脳内に響かせながら、さらに練習に励みたいと思います!
あ、明日はカール君のお迎えに行ってきます。