ちょっと前にモンゴルの民族楽器を使ったバンドを紹介しましたが。
その関係か、Youtubeでお薦めに出てた動画、グループ名のAltai Kaiってのが、なんか覚えあるような……。でも結成が1997年で、私がメキシコ来てからなんで、気のせいかなあ? 日本かドイツで聞いたような気がするんだけど、それとも似たような名前の別のグループか?
わからないんですが、聞いてみると、これがまたいい感じ~。子供のころ南米アンデスのフォルクローレがものすごく懐かしいような気がしてハマったもんですが(当時も今も、アンデスには行ったことないですが)、こちらもそれに近い、なんか昔から知ってるような気がする音楽なんです。
ミックスリストを貼りたいんだけど、これで行けるかな?
これは、アルタイ・カイの公式チャンネルにあるアルバムで、13曲入ってます。演奏風景はなくて、音声だけです。
メンバーは入れ替わりがあるようですが、男性4~5人、女性2人が入ったりいなかったり、という感じで、歌と、喉歌と、2弦の撥弦楽器がメイン、そして馬頭琴に近い2弦の擦弦楽器がたまに、それから口琴の類などのようです。
見た目はこんな感じで、
服装とか、顔立ちとか、モンゴルとどこが違うのか、正直よくわからん……。
アルタイ共和国というのは、調べたらロシアの南にある小さな国(下の地図の中央、赤く囲われたところ)で、隣接するロシアのアルタイ地方(その西側)とは別物だとか……難しい。モンゴルはすぐ東だから、やっぱり文化的にも近いのかな。
で、楽器を調べてたんですが、これまた難しい。モンゴルの馬頭琴はモリンホールとも言われ、割と有名ですが、アルタイのこちらは別物らしくて、上のメンバー写真でも左下の人と右上の人が持ってるのは弓がついているので、モリンホールに近い擦弦楽器ですが、その二つですら、いろいろと違う。胴体が四角いのと楕円のと、穴もf字型とc型と、弓は比較的まっすぐのと武器の弓のように大きく湾曲したの*1と。
とりあえず、順番にいろいろ調べたことをまとめます。
喉歌(Throat-singing)
これはモンゴルでも同じ、喉を詰めるようにして倍音を出す歌い方で、アジアがメインのようですが、割と広範囲に世界中にあるみたい。アイヌにもある歌唱法?
モンゴルではホーミーと言われるこれが、アルタイ族ではカイというのだそうで、しかも音域によって三つ名前があるみたい。
Their velvety kargyraa (the lowest style of throat singing), mesmerizing khoomei (middle range throat singing), and melodic sygyt (highest range throat singing)
(引用はこちらから)
この三つを使い分けて、鳥の鳴き声なども表現するとか。モンゴルだとモリンホール(馬頭琴)で馬のいななきなどをやってましたが、この人たちはそれを喉でやってるっぽい。
2弦の撥弦楽器、トプシュール
この原始ギターみたいな楽器、カタカナでもアルファベットでも表記がいろいろあり、トプシュール、トブシュール、トプショールなどなど、英語のウィキによると、
The Tovshuur, also known as Topshur or Tovshuur (not to be confused with the altai Topshuur
とあり、え、ちょっと待って、アルタイのトプシュールとは違うものなの!?と、混乱の極み。
少なくともモンゴルでは、2弦もしくは3弦で、ザ・フーでは3弦のも使ってました。アルタイ・カイでは2弦がほとんどかなあ?
ところで、さらにややこしいことには、上記のアルタイ・カイメンバー紹介のサイトでは、
the topshuur (a traditional Altai flute)
という記述があり……😱 確かに、縦笛を使っている曲もあるんですが、あの笛がトプシュールなの????? 単純な間違いである可能性もありますが……。
いろいろ見てたら民族楽器の解説ページがいくつかあったので、リンクしておきます。
2弦の擦弦楽器、Ikili/Igil
さて問題の擦弦楽器は、名前がなかなかわからなくて難儀しましたが、上記のメンバー紹介サイトに一ヶ所だけ、Ikiliという名前の楽器が出てて、それでもヒットしなかったんですが、別のところから、カタカナ表記ではイケルとかイギルとかいうのがそれっぽくね?と気付き、英語ウィキも発見。そこに、西モンゴルではIkiliともいうと書いてあったので、たぶんこれ。
ここではトゥヴァ共和国の楽器とされてますが、まあこれもお隣だし……。馬頭琴とよく似てる(というか私にはほぼ一緒に見える&聞こえる)けど、ヤギの頭だったりバリエーションはあるみたいです。
うぬぬ、この動画ではヤギの頭と思ったけど、これはシカか!?
同じく、日本語の解説サイトを。
口琴、コムス
これはもう世界中に同じ原理の楽器があるようだけど、口琴、アルタイ共和国ではKomusコムスというらしい。
唇に挟んでびよんびよんと振動させ、それを口腔で響かせる楽器。アイヌのムックリなんかは竹製? ちょうどこないだ読んだ佐藤さとるのコロボックル物語にも出てた。
これはお手軽そうだし、メキシコでもありそうだから、ちょっと欲しくなったりもしたんだけど、とりあえず今は新しい楽器に手を出す暇はないなw 口琴やるくらいなら、ケーナ練習しろよ、って話ですしね!?
口琴が活躍してる曲はこちらとか。
あと、太鼓類なんかも使われてますが、もう息切れ。これは調べても名前とかわからん気がするし……。とか言いつつ、こんな動画発見。
もしかするとこの太鼓はTunurというのかも? しかしそれも、ブラシみたいなので叩いてる大太鼓なのか、踊ってる人が持ってるタンバリンみたいなのか、大きくて丸い団扇みたいなのか? わかりません……。ドラムというからには、タンバリンや団扇みたいなのじゃない気はしますが。
どこかのサイトに書いてありましたが、こういう民族楽器って、バイオリンやなんかのように工場で大量生産してるわけじゃなく、地元の人がそれぞれに手作りだったりするので、大きさや形、材料もそれぞれで、分類や命名が難しいのは仕方ないみたい。そもそもこのグループ名のアルタイ・カイだって、アルタイ共和国のカイ(喉歌)って意味で使われてるらしい動画もあり、グループとは関係なかったりもしますしね。
アルタイ・カイの公式チャンネルに、ザ・フーのメンバーが演奏してる動画がありました。
やっぱり「兄弟」みたいなもんなのか。てか、ザ・フーのお兄さんたちもこんな普通の服着て、普通の家に座って演奏してるの、ちょっと新鮮。こうして並べて聞くと、アルタイとモンゴル、音楽は少し違いますね。どっちも好きだけど。
*1:バイオリンも中世ではこんな感じの弓でした