気まぐれエッセイ@メキシコ

不定期に適当な文章をつづっていきます(現在バヨ中心)

先生が「二人」いるほうがいい

 ドイツの大学で勉強してたころ、一つの科目につき、最低でも一冊の教科書を丸ごと勉強したもんです。生化学とか、動物生理学とか、分類学有機化学、発生学エトセトラ。たいていの科目には、かなり出来のいい教科書があって、先生が指定するものを図書館で借りるなり自分で購入するなり、私の場合はかなり書き込みもするので、買うか全ページコピーして自力で製本するかでしたね。

 しかしたいていの場合、一冊では足りないところが出てくるもんで、メインが一冊あっても、補助的な教科書を最低一冊、場合によっては数冊、並行して参照しました。できれば二冊、しっかり勉強する。見比べると、微妙に重点を置くところが違っていたり、また両方で扱われている部分は確実に重要なポイントだったりするので、バランスのいい勉強ができます。それは経験的に知ってたけど、はっきりとそれを言葉にして言ってくれたのは、確かベルリッツで日本語を習い始めたエリートサラリーマンだったかなあ? 

 

 楽器の場合、流派の違いとかもあるので、まったく違うこと言う先生二人に習ったりするとややこしいことになりそうですがw それに私の場合、やーーーっと見つけた先生だから、選択肢は他にないわけだし(とは言っても、その先生が所属する大学の音楽科にはバヨ教師が全部で三人いるみたいだけど)。

 今の先生にたどり着くちょっと前に、ネットで知り合って仲良くなった日本のバヨ先生も、私が何かに困っていると的確なアドバイスをくれたりするので、ある意味すでに二人いるようなもんではありますが。

 先日、母から送られてきたこの本。古本だったので、ところどころにマーカーやボールペンで印がついてるのも、前の所有者がどこに悩んでたのかなど垣間見られて面白い。

 

 実はこれ、改訂版も出てるみたいで。

 

 どれくらい中身が違うのかわかりませんが、前者でも充分な内容だと思います。ちょっといくつか誤字が目に付くくらいで。

 これ、確かアマゾンで何かの関連本として出てきたんだったかな? 雑誌の連載をまとめたものと書いてあったので、勝手にエッセイみたいなのかと思ってたら、ぜんぜん違いました。

 第一部は楽器の作りや手入れ、扱い方、成り立ち、歴史その他もろもろ。第二部は演奏についての基礎を、それはそれは丁寧に解説してくれてます。「各駅停車」のタイトルがまさにって感じで。ただし基礎だけなので、ビブラートとかはないですが、弓の持ち方、動かし方、立ち方、などなど。

 とりあえず、さーーーっと読みました。知ってることももちろん多かったですが、いくつか参考になる新しい視点、それから先生にも、日本の先生にも、あ、これ言われてた! 忘れてた! てなことがいくつもありましたw

 

 で、今日もレッスンだったわけですが、このごろのレッスン、注意点が細かくて、頭がとっ散らかっちゃって、もちろん帰宅したらすぐにメモするんで、それぞれのポイントはいちおう押さえてると思うんですが、ブログに書こうとすると……何書けばいいんだろ?ってなっちゃう。でも、そういうときこそ、書いて整理して、しっかり押さえないとね。

 ほとんどが音色に関することで、大事なのは以下の三点かな。

  1. 音の立ち上がりをもっと丸くふわっと、音の終わりもブツっと切るのでなく残響に気を付けて
  2. 特にブラームスのワルツやコンチェルティーノ第2楽章のようにスラー多用でなだらかな曲は、音を切らないで、もっとつなげて(つないでるつもりなんだが切れてる)
  3. 弓をまだ押し付けすぎ、でも音がスカスカにならない程度の圧を身につけるべし

 

 1点目は先週も言われました~。それで、頑張って残響を消さないボウイングを研究してたんだけど、共鳴する弦がある音は割と行けるんですけどね、あんまり共鳴しない音は、ブツっと切れちゃうんだよなあ……。これ、楽器の性能の問題なんじゃ???(←また道具に責任転嫁)

 2点目は、今日初めて言われて、帰ってから午後練でやってみたけど……うまく行かねぇ~~! 弓の返しで確かに、完全に音が消えることはほとんどないけど、音量が下がる。当たり前っちゃあ当たり前なんだけど、プロが弾くと音だけでは弓を返したことがわからないくらい、音がしっかりつながってるんだよねえ。私の場合、そもそもの音量が一定でないんですね。返し以前の問題?

 今日、ボイスメモ(ケータイのアプリ)で録音してみたんですが、これ、音量がグラフで出てくるので、ただまっすぐ弾くだけでも音量が変化してるのがはっきり見える。

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 こんなでこぼこソーセージを大量に生産してしまいました……。頑張って、比較的安定しても、こんな感じ。

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 まあこっちも機械じゃないので、完全に平坦に安定した音は無理としても、もう少しきれいな図形を出したいもんです。

 上にリンク貼った本でも、それについては(音の立ち上がりと終わり方についても)何度も言及されていて、でもじゃあ具体的にどうしたらいいかってのは、ない。これもやはり「体が知ってる」ってやつなんでしょう。自分で体得するしかないですね。

 

 3点目の弓の圧力について、先生が今日最後にお手本を見せてくれたんですが、見てる分には本当~~~~にふんわりと撫でるようにしか見えない。でもちゃんと芯のある音が出るんだよなあ。不思議。

 これについても、本にも「圧力」の項目に書かれていて、先日読んで、ほほ~!と思ったところなんですが。

 難しいところですが、弓を「押し付けて」しまうと、たいていの場合あまりよい結果は得られません。「音がつぶれて」しまうことが多いからです。

 最初のうちは自分で「押し付けている」のか「圧力をかけている」のか、その判断はつきにくいかと思います。

 適当な圧力の掛け方は、耳と身体で覚えていくしかありません。

(中略)

 うまく圧力が掛かっていれば、耳元で聞こえる雑音は聞いている人にまでは届いていません。一歩離れれば、力強いよい音に聞こえるはずです。

 慣れてくれば耳元の雑音がどういう種類のものなのかも、判断がつくようになります。

 とのこと。太字は私。で、まさにここ、最近実感してることで、先生にも数週間前のレッスンで弾いてる最中に「押し付けないで!」とか言われた~。それ言われて、へ? と思ってから、いろいろ気付いたんだったよなあ……。でも実際には、「押し付ける」のではなく「腕の重みをかける」と言われたって、一般人にゃその違いがわからんw とにかくいろいろやって、いい音出す方法を身につけるしかないのでありましょう。

 

 というわけで、この本、なかなか適度な「二人目の先生」になってくれそうです。私のレベルにちょうどよかったのかも。まだまだ初心者だなあ。

 

 ところで、雑音のこともちらっと書かれてるので、ついでなんだけど、このごろきれいな音を出すボウイングの練習してると、前から気になってたG線の雑音が出なくなった、ってこないだ書きましたけど、これが、日によってはやっぱりちょっとは出るんですわ……。今日も出てた。

 紙がカサカサ言うような音なので、中に貼ってあるラベルが剥がれかけてるのかなあ、と思って見てみたけど、そんなこともなさそうだし……。耳元だけで聞こえる? と思って、バヨをチェロみたいに机の上に立てて構えて、弓を水平に動かして弾いてみたけど、やっぱり耳元でなくても聞こえる。顎当てのハンカチを外しても、肩当てを外しても、聞こえるから、その辺が原因ではない。謎。

 音色を気にする練習してると、よけいに気になるんですよね、これが。あと、A線のドの音も気に入らないし……。来週のレッスンではここ徹底的にやってもらおうかなあ。