気まぐれエッセイ@メキシコ

不定期に適当な文章をつづっていきます(現在バヨ中心)

スズちゃん帰宅す

 今日は隣町の工房のおじさんが、親戚を訪ねて私の町まで来るので、私のバヨをついでに届けてくれる日。朝からそわそわ、てなことはなかったけど、まあ到着は昼過ぎとかだろうしな、うちに来るのは夕方か晩か、雨降らないといいけどな。とか思いつつ、3時半ごろだったかメッセージ送ってみた。そもそもうちまで来てもらえるのか、それとも?というところも未確認だったし。でも返事はない。まだ運転中か?

 とりあえず4時からはいつもの練習時間なので、カール君で練習始める。カール君もだいぶ音が落ち着いてきた……のか、私の耳が慣れちゃったのかw 前ほどバリバリうるさくは感じないかな。で、せっせとコンチェルティーノを弾いてるときだったか、工房のおじさんから通話が入る。あとで見たら、少し前にメッセージ来てたのに、練習に夢中で気付いてなかったよw うちまで来てくれるというので、ロケーションを送り、待つこと30分。

 ホテルに入ったとこ、と言ってたからおじさんだけ来るのかと思ったら、美人の奥さん(初対面)と高校生大学生くらいの感じの娘さん二人と、私のバヨと、車ぎっしりで来てたw で、おじさんの目の前で弾いて音を確かめることになると覚悟してたのに、まあゆっくり弾いて、問題あったら工具は持ってきてるんで、明日調整しますと言う。あー、なるほど、そのほうが落ち着いて弾けるしいいね!

 で、お金払って(ちょっとかなり多めに払ったよ、来てもらったし)、カール君を見せる。これも急がないけど、いくつか直してほしいんです。取りに行くのは一ヶ月後とかそんな感じで、ということで、A線ペグと、駒を下げて弦と指板を近付ける、テールピースを木製に交換、の三つをお願いした。おじさん、カール君をチェックして、ふむふむ、これもきれいないい楽器ですねえ、と言うw あれか、ニス禿げ禿げで駒がなくて側板が割れたり剥がれたり、というような状態の楽器じゃなけりゃ、どれでも「いい楽器」なんかな。

 で、おじさんが、ネックちょっと太めですね、と言うので、そうなんです、と答えたら、ちょっと削りましょうか、とおっしゃる。え、できますか? できるんだったらお願いします! てことで、それも。

 カール君、ドナドナされていきました。

 

 さて、帰ってきたスズちゃん、カール君とお見合いがぜんぜんできないねえ、すれ違いばっかりで。まあ別に、二挺揃ったからって結婚して子供産むわけでもなしw 分数バヨが次々生まれて育って、とかになると楽しいけどねえ。

 で、スズちゃん、新しい駒を付けてもらってます。これまで付いてたのは、日本の工房で付けたのであろうフランス製のオーベルトってメーカーの駒だった(知らなかった! じっくり見たことなかった)。

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 右端のE線(一番細い弦)のところ、ちゃんと補強はしてあるけど、それでもずいぶん食い込んで、触ったら指先にはっきり感じるくらい、木が傷んでた。

 そして新しい駒は、ドイツのテラー社の。

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 すでにちょっと弾いてから撮った写真なので、松脂の粉が散ってますが。

 

 おじさんに、カール君の駒の写真を撮って事前に送って、これくらいのカーブでE線がもう少し下がるように作ってくださいと依頼して、ラジャー!と返事来てたんだけど……。おじさん、前のとまったく同じ形に作ってるじゃないかよw まあいいけど。

 で、コンコンチェックもしてみたんですが、なんか、チリチリと微かな金属音がする? 楽器を振っても聞こえないので、内部に何か入り込んでるわけでもなさそうだし、テールピースや顎当ての留め具もしっかり締まってるし……といろいろチェックして、あ! E線のチューブだ! 上の駒の写真にも、右下の紫色の弦にかぶさって白く写ってるチューブ。駒に弦が食い込まないように付けるチューブなんだけど、おじさん、これをちゃんと咬ませなかったのね。まあこれ付けると、その分E線が高くなるから、ないほうがいいんだけど、でもE線は食い込むからねえ……。というわけで、ちゃんと付けて、雑音もなくなりました。弦の高さは、まあもう慣れてるから大丈夫かな。

 

 そしてもう一つ。なんと、魂柱も取り換えてくれてた! え、魂、入れ替えちゃったのw それ、もう別人なのでは?

 魂柱って、こんな、

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 何の変哲もない、ただの棒なんですけどね。細長い穴が開いてるのは、ここに魂柱を立てるための工具を差し込んで、楽器内部に押し込むから。

 しかし魂柱というだけあって、バヨの音質を決める大事な役割を負っているこの木片。そうか、魂も新しくなったのか。で、これの交換もしてくれたし、おいくら?って訊いたら、いや、別にいらない、って。魂交換しておいて無料ってのもねえ。それもあって、少し多めにお支払いしたんです。

 

 あと、おじさんは言ってなかったけど、ペグも全部、すごい回りやすくなってた。手入れしてくれたんだなー。スズちゃんのペグ、実はすっごい回りにくかったんで、助かりますホント。

 

 さて、肝心の音色がどう変わったか? このところずーっと(5月11日に買って、12日からだから、もう3週間近く)カール君弾いてて、前のスズちゃんがどんな音だったか記憶があいまいだけど。

 まず、よく響く。弾いてる以外の弦が共鳴でよく鳴る。カール君、そこが物足りないくらい鳴らなかったんだよね。少しは共鳴するんだけど。スズちゃんは、前からよく共鳴してたので、ここはまあ前と同じかな。

 G線の雑音はだいぶマシになってる気がする。それと、E線がめっちゃよく鳴るようになってる。前は、G線の音がでかくて(でかすぎてビリビリ雑音っぽかった)、D線、A線はまあまあで、E線は静かだったんだけど、今はバランスがよくなった

 音色は、最初ちょっと、籠った感じかなあ、と思ったんだけど、弾いているとそうでもなくて、「まろやか」。音の表面がざらざらしてなくて、滑らか。弾いてる本人が聞く音ですけどね、あくまでも。

 あと、レスポンスがいい、よすぎるくらい、いい。カール君はそこ、ちょっと鈍かったんで、割とがしがし弾いてもそんなに敏感に他の音出さなかった気がするんだけど、スズちゃんは少しでも他の弦触ると鳴っちゃう。少しでも弓圧が変わると音が変わっちゃう。あれ、私また下手くそになってる?って思ったくらいw

 

 今日はもう時間がちょっと遅かったので、あまりいろいろ弾けず、今までやった曲をざっと一通り弾いてみたくらいで終わったけど、特に不満はなく、おじさんの日曜を邪魔する必要はなさそう。いい感じの音になってる、というか、私の腕前のほうをもっと頑張らないと、というくらいのレベルの楽器になってるかな。これでしばらくは、楽器のせいにしないでwせっせと練習に励めそうです。

 来週のレッスンで先生にも見てもらって聞いてもらって、なんと言われるか楽しみ。

 カール君を迎えに行くのがいつになるかはわからないけど、こちらもどうかな、少しでもいい音になって、ネックもダイエットして、弾きやすくなってくれるといいな。でもまあ、スズちゃんに勝てる日は来ないかもだけどね。