気まぐれエッセイ@メキシコ

不定期に適当な文章をつづっていきます(現在バヨ中心)

スズキバヨは再入院(ちょっと追記)

 今日はダンナが一日休みを取って、隣町の工房へスズキバヨをお迎えに行きました。

 12時に工房に到着、本当ならまだ開けてない時間なんだけど、前もって約束していたので、わざわざ来てくれて、中へ。ここには、うちのナナとよく似た毛並みの、でも真っ白い猫ちゃんがいます。

 

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 尻尾ふさふさなところがそっくり。私のバヨケースは猫の匂いがいっぱいついてるからか、すぐ寄ってきて熱心にほっぺスリスリ。

 さて、スズキバヨ、前回は友人に工房まで持ってきてもらったんだけど、そのときに、どこが膠剥がれてるか、友人には伝えてたし、友人も苦手なスペイン語でこの辺~と伝えてくれたらしいが、おじさんは、ちょっと見て、よくわかんないけどあの人が剥がれてるって言うなら剥がれてるんでしょ、あとでよくチェックしますと言ったらしい。

 で、その後私も、別に言わなくてもわかるだろと思ってたので、どこが~とかは言ってなくて、今日行きます、12時到着予定、とかそういう話しかしてなかった。工房に入ってバヨ出してきて、ここらへんですよね?とバヨのお尻を触ると、おじさん、え? ここの角のとこでしたけど。って……😨 え???

 あああああ、どうして前もって確認しておかなかったんだ!って後悔しても遅い、てか、そんなこと、ありえますか??? 

 ここらへんですよ、とコンコンチェックしたら、ほら、ね? 音がおかしいでしょ? でもおじさんは、その辺は剥がれてなかったとおっしゃる。う~~~ん。う~~~~~~ん😟 もう一度預けたら、また取りに来なきゃいけない。でもこのまま持って帰っても結局剥がれが直ってなかったら、さらに二往復することになる。

 

 悩みつつ、ついでと言っちゃなんですが、このバヨ、G線になんかびりつきがあるんだけど、魂柱の調整とかしてもらえます?って訊いたら、ああ、それなら、と道具を持ってきて覗き込んで、そうだね、ちょっと動かした方がいいかな、とちょいちょいと調整して、調弦して、はい、弾いてみて。

 と言われても、すいません、弓は家に置いてきました。おじさん、あーーちょっと待ってバヨの弓、バヨの弓……バヨのはないけど、チェロの弓ならあるよ、とw チェロの弓!! そんなんでバヨ弾けるんかい、と思ったけど、渡されてみたら、意外と長さはさほど変わらず(もっとうんと長いと思ってた)、少し重いけど、まあ問題ないかも(とはいえ毛が数本切れて、てれんてれんに下がってて、おじさんが邪魔になりそうなのだけむしり取ってくれた)。で、弾いてみたら、お! なんかいいかも。てか、やっぱヘフナーとは比べ物にならないくらいよく響いてるかも。

 

 で、とりあえず友達の家に持って帰って、そこでもう一度チェックして、もしやっぱり剥がれがあるようなら午後持ってきます。ということになった。今日は午後は3時から工房にいるって言うし。

 

(バヨには関係ない話なのと、書いた日は疲れていたので端折ったんですが、以下、工房のおじさんとのやり取り、追記しました)

 修理代は480ペソ(2500円くらい)で、預けるときに250前払いしてたので、残り230だけど、魂柱の調整してもらったし、ええと、おいくら支払えば?と訊いたら、それはもう志で、250くらいで、とおじさん。えーと、魂柱が250ペソ? いやいや、全部で250ってことで。実はちょうど230用意してたんだけど、50は細かいのがなくて、まあいいや、と300渡しました。おじさん、お釣りを出そうとしたんだけど、いえいえ、それでいいですと。そしたら、ありがたく受け取っておきますということに。

 それじゃ、もしかしたらまたあとで来るかもしれないけど、と工房を出ようとしたら、入ったところのテーブルに、はちみつ色の液体を詰めた瓶が大中小いろんな大きさで並べてある。ありゃ、入ったときは気付かなかったけど、これ何? まさかだけどバヨのニスとか? とちょっと興味惹かれておじさんに訊いてみたら、やっぱり蜂蜜だったw チアパスから届くオーガニックな蜂蜜で、大自然の中で集められてまったく加工してないものなんだとか。へえー、おいくら? と訊いたら、小さいのが50ペソで、中くらいのが……大きい1リットルが……(聞いたけど忘れた)。うーん、どうしよ、と思ったけど、手持ちが500ペソ札しかなかったので、お釣り出してもらうのもめんどいし、今細かいのないから今度にします、と言ったら、おじさん、いちばん小さい50ペソのを、じゃあこれ差し上げますって! さっき出しかけたお釣りの代わりかw いやいやいや、そんなつもりで言ったんじゃないし!と慌てたけど、いいからいいから、と。そうですか、なんか申し訳ないなあ、でもそれじゃありがたく、と受け取ってきました。追記終わり。

 

 

 さて、友人宅まで行って、ルーペある?って訊いたけど、そうか、普通の家にはルーペってないんかな。スマホの拡大鏡も、工房でも使ってみたんだけど、いまいちだったし、デジカメは持ってこなかったし……。あとから考えたら、針を借りて、針先でつんつんしてみたらよかったのかも? でもとにかくスマホでできるだけ近付いて撮った写真。

 

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 いちばんピントが合ったのがこれで、うちに帰ってからパソコンで拡大してみたら、やっぱり剥がれてると思うんだがなあ。

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 矢印から矢印まで。この写真だと、小さくて見えないかもですが。

 

 どっちにしろ、修理に持っていく前にうちでルーペで見たとき剥がれてたわけで、生き物じゃないんだから、小さな傷は自然治癒しました、なんてことにはぜったいならないし。このまま弾き続けるか、もう一回来るか。ダンナは、もう嫌だと言うので(そうだろうな……)、次はバスで来るしかない。

 

 でもやっぱりこのままにはしておけない。と決心して、友人一家とご飯を食べたあと、工房へ。おじさんより先に、猫ちゃんがニャ~~~~ン、とお出迎えしてくれた。

 おじさんに、すみませんがもう一度お願いします、と。で、この際だから気になってるとこ全部見てもらうことにして、

  1. A線のドのとき音が他より頻繁に裏返る → 魂柱調整?
  2. 駒、どう? → おじさんの好みではもう少し足を薄くしたい、でもいい木を使ってるから、取り替えなくてもいいっちゃあいい → あつらえてもらう場合のお値段を訊くと、まあ膠剥がれ修理より安いので、おじさん、自分の好みの音に作ってみる、で、それが気に入らなければ元のに戻せばいいし、と言ってくれた。でもまあ普通は駒も、木がへたってくるので、15年に一度くらいは交換するかなあ、とのこと。これは少なくとも18年経ってます。でも問題なければそのままでもいいんだろうけど。
  3. その他、全身チェックお願い

 

 18年前に日本の工房で買って以来、一度も調整してないしね。まあほとんど使ってなかったってのもあるんだけど。

 そんで、いつ取りに来るか、なんだけど、おじさんが言うには、奥さんの姉妹が私の住んでる町に住んでいて、近いうちに遊びに行きたいと思ってたので、今週末は無理だけど、来週末行けるかもしれない、そしたら持ってってあげる、とのこと。そうしてもらえると、すっごい助かる。でもまあできたら、ってことで。

 実は今日も、直前までダンナが休み取れるかどうかわからんと言ってて、もしダメだったらバスで行くか延期にするかって話を友達としていた。友達は、バスはコロナ怖いからやめときー!と反対。で、彼女の旦那さんの仕事仲間が、仕事で私の町に行くから、友人が工房からバヨを受け取ってその人に渡し、届けてもらおうか?という案まで出てた。でもそれはさすがにね、その人、私も顔見知りだけど、仕事で来るのにそんなことまでさせるの申し訳ないし、万が一バヨに問題あった場合(修理がちゃんとできてないってのもそうだけど、手違いで別のバヨと入れ替わってた、とかだってあるかもしれないw)ややこしくなるから、やっぱ自分で行くよ、と言ってた。よかった。

 

 工房でしゃべったとき、ぶっちゃけこのバヨ、どうですか?とも訊いてみた。そこまであれこれ手を入れて使うだけの価値があるかどうか。古くなってることは、バヨの場合、利点でもありうるけど、量産品だと限度もある。でもおじさんが言うには、

  • 目の詰まったいい木材を使ってる
  • 重さもいい感じ
  • 指板もちゃんと黒檀(へえー、似非かと思ってたw)
  • 調整はきちんとされてる
  • ものすごく高価な楽器ってわけじゃないけど、良い楽器

 ということで、まだ使用には充分耐える感じ(ま、あくまでメキシコ基準ですが)。愛人(予備のバヨ)を買ったんで、正妻はもう少しゆっくり直してもらっても大丈夫です。てか先週買っといてホント正解だったなー。じっくり直してもらって、音がどう変わるか楽しみです。ちょっと怖いところもあるけど。どういじられるかわかんないし。

 

 正妻が元気になったら、愛人も調整に出そうかなあと思ったり。テールピースの交換とA線のペグの調整と、魂柱と駒? それで愛人ももっと良くなるかもしれないしw でもそれこそ、そこまでする価値あるか?って話ですけどね。

 

 帰りの車の中でダンナが、あの楽器、なんでそんなに何度も調子悪くなるんだ?と。はいはい、言いたいことはわかりますよ、そんなだったらもうさっさと手放してもっと新しくていいやつを買え!って言うんでしょ? でもねえ、バヨはそういう(新しい=いい)楽器じゃないんだよね。

 だったらなんですぐに壊れるんだ? そりゃーここの高温多湿な気候がバヨには向いてないし。

 だったら、先生の楽器はどうなんだ? 先生は少なくともおととしまでは、チアパスから職人さんが来て、定期的に楽器の調整してたからでしょ。私のバヨは18年間無調整ですから。と言ったら、もうそれ以上言わなかったけどね。

 パソコンなんかは、ダンナ方式でいいんですよ。昔はお金なかったから、博論に必要なパソコンも、部品を集めて組み立てて売ってるようなヤツを使ってたけど、ホントにしょっちゅう壊れて、そのたびに修理してお金かかって、時間と手間もかかって、て感じだった。それで、高くてもメーカー品を買うようになったら、少なくとも数年は問題なく使えて快適、まあそれでも限度はあるけど、5,6年は使えた。

 でもバヨは、音が変わっていく楽器なので、新しければいいってもんではないのですよね……。

 

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 スズちゃん、早く元気になって帰っておいで♡ それまではカール君で我慢しておくから……。