気まぐれエッセイ@メキシコ

不定期に適当な文章をつづっていきます(現在バヨ中心)

バイオリンはディテール主義者

 前に先生が言ったんですよね、バイオリンはとってもDetallistaだって。スペイン語でDetallista、これはDetalleディテールに、~イストっていう語尾を付けたもので、だからそのまま訳すと、ディテール主義者w まあ普通に形容詞として「詳細な、綿密な」、名詞として「細部にまで気を配る人」などの訳語が辞書には出てますが。

 まあでも日常で使う場合、人間に言うときはどっちかというとネガティブな意味合いや自虐的な感じで使うかなあ、私ちょっと神経質なんで、とかいうようなときに。細かいことぐちぐち言う人とかね。

 

 バヨについてしかしそう言われると、なんかすごくしっくりくるw 左指押さえるところが0.1ミリ狂うだけで音程変わるし。弓の角度や圧や速度がちょっと違うだけで音色ぜんぜん違ってくるし。

 それは重々わかっていたんだけど、ついこないだまでは、あまりにも気をつけなきゃいけないことが多すぎて、いちいち全部考えてたら1ミリも動けんわッ! ってなってた。一度には一つのことしか気を付けて演奏できないから、それ以外のことは考えなくても体が勝手に動くようになるまで練習するしかないと思ってました。でも実際は、Aに気を付けて弾く練習をして、できるようになったと思っても、Bに気を付ける練習をしていたら、Aはまたできてない、てなことはほとんどだった。手首曲げて、小指曲げて、肘上げて下ろして、姿勢正して、弓の持ち方、動かし方、右手と左指を合わせて、音程が~、とか、頭パニックになるしかないでしょw

 

 先生が産休で、いつ復活するかわからない状態の今、まあ三ヶ月はあるとして(半年、一年になっても不思議はないけど)、そのあいだに、今まで言われたけどぜんぜんマスターできてなかったこれらのことを少しでも身につけておこう、とは思ってた。ありすぎて、どこから手をつければいいかもわからなかったけど、音汚ない! → 弓まっすぐ練習か! となって、もうここ数週間頑張ってる。それでも曲を弾いてたり、疲れてきたりするとまた前の悪い癖が出てくるんだけどね……。

 でも、それより前に、この動画を偶然見つけて見ていて、ディテール主義者って言葉になんかものすごく納得というか、実感したんです。

 

 バイオリニストは、ダニエル・クルガノフ。ぜんぜん知らない人だし、演奏を聞いたこともない。調べてみると、ミンスク生まれのロシア系米国人らしい。説明は英語なんだけど、まあ楽器を使っての実践しながらだし、そんな難しいことは言ってないので、だいたいわかる。

 で、この動画で推奨されてる練習、このところやってます。弓のスピードは変えずに、圧だけを変えて、うぃーんうぃーんとウェーブ音を出す練習。まあ自分でやると、ちゃんときれいな山型になってるか自信はないです。盛り上がりが音の始めに偏ってたりするかも。

 この練習で何を実感できるかと言うと、弓の圧だけで音量を変えられるということ。理屈では知ってましたよ、それ。でも実際には、曲弾いたりするときそこまで意識する余裕はとてもじゃないがなかった。まあこの練習やってても、曲やるときは忘れてるけどw

 でも、圧「だけ」で音を変化させられる、その圧を右手で生み出す感覚と、それをコントロールする練習で、ああ、ホントにディテール大事なんだなと。

 そしてね、こういうことができると実感すると、音の表現ってことも現実に迫ってくるわけでw

 

 弓圧だけじゃなく、もちろん、角度もスピードもほんのちょっとした指や肘の動きも、すべてが大切。そういうのをすべて、砂粒ひとつひとつでも、積み上げれば山になるように、慎重に積み上げて積み上げて、プロの演奏家の表現する作品が出来上がるんだな。

 という、気が遠くなるような話でしたw