気まぐれエッセイ@メキシコ

不定期に適当な文章をつづっていきます(現在バヨ中心)

弓の時速5キロ

 昔、ドイツで大学生やってたころお世話になっていたドイツ人家族、おばさんは私が小学生のころの担任の先生(バイオリンを弾く)、おじさんはプロテスタント神学の教授で牧師で、ピアノを弾く人で、長男はフルート、次男はチェロ、三男はバイオリニストでした。で、おじさんは頼まれてピアノ伴奏をすることがよくあったらしいのだが、1990年代ごろだったかなあ、音楽学校への入学のためのオーディションに韓国人バイオリニストがすごく増えてきたと言っていた。で、(当時の)韓国人バイオリニストさんたちは、速く弾く=うまいという認識らしくて、めったやたら速く弾くので、ピアノ伴奏も合わせるのが大変だ、というような話をおじさんがしてました。

 

 そりゃあ、ゆっくりと速くだったら、速く弾くほうが難しいだろうとは思うけど、私は聴く側としては、技巧よりも情緒重視するタイプかな。だから、別に速く弾くのがすごいとか思ったことはあまりない(たまにはある)。

 でも自分が弾くとなると、演奏の速度は(レベルがまったく別なのはいわずもがなだよ?)大きな問題となって立ちはだかってくるわけで。ゆっくり過ぎても難しいけどね、弓が足りなくなったり、音が震えたり揺れたりするし。

 レッスンで最初の課題曲だったバッハのメヌエット1番、冒頭の速度記号はアレグレットで、付点二分音符=66 と書いてある(3/4拍子の曲)。てことは、♩=198って計算になる。当時、Youtubeでピアノ伴奏を探すという発想がなかったので、MuseScoreという無料ソフトを使って楽譜を書き起こし、この速度を指定してみたら……ちょっとありえんやろってくらい速いw 

 今Youtubeでプロの演奏を聞いてみると、たとえばこんな感じ。


www.youtube.com

 

 優雅に弾いていらっしゃるのでそんなに速く聞こえないですが、♩=120ちょっとくらいかな。いくつか動画あるけど、どの演奏を聞いても、さすがにスズキの指定速度を出してる人はいないw

 私も、最初は♩=75くらいがやっとだったけど(今聞くと信じられないカタツムリテンポw)、今はこのくらいの速さでもそこそこ弾けるようにはなってます(音はぜんぜん違うけどなッ!←開き直り)。

 

 で、今やってる曲、キュヒラーのコンチェルティーノね。ドイツ人で模範演奏(とピアノ伴奏)をアップしてくれてる人がいて、練習に使ってるんだけど、第1楽章はアレグロモデラート。模範演奏のオリジナルテンポは♩=148。私は最初は80でも間違ってばかりだったけど、少しずつ慣れて速く弾けるようになってきて、今116でどうにか、って感じのところまで来た。

 いや、テンポだけなら116で弾けるようにはもう一ヶ月以上前になってたんだけど、音が汚ない。それでボウイング練習をし始めて、今ようやく、まあまあ自分では及第点出してもいいかなあ、くらいの音が出るようになってきたところ。

 で、そのボウイング練習なんだけど、♩=120でずっとメトロノームを流して、まあいろんなリズムでボウイングをやる。けど、基本は一拍を全弓で。

 つまり、バヨの弓の長さは74センチくらいなんだけど、私の場合腕が短いので、先っぽぎりぎりまでは使わないから、まあ70センチとして、それを0.5秒で端から端まで行くわけだ。これ、計算してみたら、時速5キロちょっとだったw

 もちろんもっと速い演奏はいくらでもあるので、バヨ弓の最高速度ってどのくらいなんかな、とかアホなことも考えてみたりするw

 

 さて、キュヒラーのコンチェルティーノ第1楽章。出だしは二分音符と四分音符でゆったりなメロディが16小節あるんだが、その次のBパートが難関。ほぼ全部八分音符で埋まってる。つまり、テンポ120で弾くとすると、八分音符1分間に240個、一音は4分の1秒という計算。オリジナルは148だから、一音約0.2秒w

 148に到達する日が来るかどうかは置いといて、今、八分音符を♩=116~120のテンポでまあまあ、というのはきちんとすべての音が出ていて、そこそこきれいに鳴っている、程度に弾けるようになってきて、そこでメヌエットとか、今までやってきた(苦労した)曲を弾くと、ゆっくりに感じられて、めっちゃ余裕なんだな、これがw

 

 昔、これは上記の「昔」よりもっともっと、ホントの昔、高校でブラバンやってたころにも、通常テンポより速く演奏できるようになっておくと、通常演奏がめっちゃ楽、というのは充分体験してわかってた。だから、今までの曲でも頑張って速め速めに弾こうと努力はしてきたものの、通常テンポに持っていくだけでも青息吐息だったからねw 無理に速く弾こうとして、音が汚なくなるだけって問題もあったし。

 でもキュヒラーのおかげで、これくらいの速度にはだいぶなじんできたと言っていいのかも。あ、もちろん指遣いの問題はあるので、まったく別のメロディをこの速度で今すぐ弾けるかっつったら、そりゃ無理ですw

 

 ただ、ボウイング練習のテンポを少しずつ上げていけば、更なる高速演奏もできるようになるのかな……と夢見る亀でした。

 

 追記。キュヒラーも、楽譜をもらった1月にはテンポ60でやっとこさだった。2月には80,3月には100、そして4月現在、130でもいちおう弾けることを発見。亀の歩みではありますが、着実に速くなっていってますw