長らくご無沙汰したあげく、なんかこんな記事でごめんなさいって感じですが……。
今日、財布の中を整理していて、こんなの発見。
違い、わかります? そう、影を見ればわかるように、分厚さが違う。
縁の模様のあるなしも違う。実はこれ……
50センターボと10センターボ! まっ、まぎらわしいッ!
なぜこんなことになったかというと、メキシコでは割とちょいちょいコインのデザインは変更され、ご覧のように、50センターボのほうは新しいやつ、10センターボは古いやつ(でも流通してるし、普通に使える)というわけ。
パッと見、10センターボのほうが心持ち大きく見える。重ねた写真では、直径はたぶんほぼ同じだけど、50のほうは縁を丸めているので、その分小さく見えるんでしょう。
それで思い出した、古いメキシコ硬貨を私、けっこう持ってることを。あちこちに散らばっている(もう使えないやつとか、使えるやつとかいろいろあるので)のをかき集めてきて、見比べてみたら面白かったので、ご紹介します。ま、コインの専門サイトとか行けば、もっと完璧にそろえてきれいな写真載せてるところはいくらでもあるんだろうけど、うちにはたまたま残ったやつしかないので、すごくテキトー歯抜け状態です。
メキシコ通貨の基礎知識
まずは、通貨の説明を。メキシコはペソ。1ペソは今5円から6円のあいだをゆらゆらしてます。そして、1ペソ=100センターボ。スーパーとかで買い物すると、1センターボ単位まで細かい値段がついているけど、最小のコインは5センターボなので、それ以下の端数はテキトーに切り捨てたり切り上げたり。都会(メキシコシティ)なら、それでも5センターボ単位までそこそこきっちりおつりくれますが(今だと10センターボ単位かも)、田舎のこのへんだと、だいたい50センターボ単位でテキトーに処理される。
今日もタクシーに乗ったら35ペソで、50ペソ札で払ったら、おつりが14ペソ50センターボでした。運転手さん、「ごめん、細かいのがこれしかないから50センターボまけて」。あーはいはい。また、まだスペイン語がよくできなかったころ、街中の小さいスーパーで買い物したら、おつりがなかなか出てこなくて、どしたんだ? と思ってたらレジのお姉さん、別の人に頼んで店の奥から飴ちゃん一個持ってこさせて、「おつり50センターボの代わりね」と飴ちゃんくれたw いや、なかったんなら別にいらんかったのにw
という感じで、メキシカンなアバウトさで経済は動いてる。
流通している通貨は現在のところ、5センターボ(製造はもうしてないらしい)、10センターボ、20センターボ、50センターボ、1ペソ、2ペソ、5ペソ、10ペソ、まれに20ペソ、50ペソ、100ペソ(これらはお札のほうが一般的)。
もう一つ大事なことは、1993年に実施されたデノミネーション。メキシコは、今でこそだいぶマシになってますが、当時は知る人ぞ知るインフレの国だった。戦後のドイツほどじゃないにしても、私が最初にメキシコに旅行で行った1990年のころは、2000ペソが100円くらいだった。ホットケーキ一皿6000ペソとか。ダンナが当時、大学からもらっていた奨学金は、月100万ペソ。一気に百万長者の世界w
その一方で、硬貨はやたらでかくて重かった。大した金額持ってなくても、財布がずっしり重い。まあこれはデノミ(1000分の1*1)実施されてもしょうがないかなという感じだった。
というわけで、私の手持ちの、デノミの少し前に遊びに行ったとき残った硬貨(旧ペソ)と、デノミの後に来たときの新ペソ(古いのも1995年までは普通に使えていたので、新しいのはNペソと表記されていた)、そしてその後旧ペソが出回らなくなってNが取れた普通の(現在の)ペソの各種コイン。お見せいたしましょうw
まずは、センターボ硬貨
こちら、現行のセンターボ硬貨を並べてみました。
これ、たまたまだけど、全部2011年のコインだった! 50センターボは上でお見せしたのと同じやつ。そう、今の10センターボは50に比べてこれくらいは小さくなっているのだ。
ちなみに、年号が見えにくくなったけど、1997年の5センターボと比べてみたら、こんな感じ。
5センターボなのに、かなりでかい。これと並行して出ていた10や20や50はもっと大きかったということですね。
これ、上が10センターボ(縁に一本溝)、下が古い5センターボ。厚みの違いもわかるかと。
さて、時代の違う50センターボを並べてみた。
左端のは1981年。50の数字はなく、文字で「ごじゅうセンターボ」と書いてある。真ん中の銅貨は、今でも使える(1997年鋳造)。そして現行の50センターボ。
次は20センターボ。
左端の1982年のデノミ前の20センターボ。上の50もそうだけど、デノミで1000分の1になったので、これは0.02センターボw 真ん中の銅貨は50と同じく、今でも使える2001年のやつ。
そして10センターボ。
1979年のは、かなり薄い。鋳造技術も拙ない感じ? そして1999年のと2011年のは、大きさは違うけどデザインはほぼ一緒。あ、ちなみにメキシコのコイン、写真で見せていない側(表)はすべて、「サボテンに止まってヘビを食べているワシ」の模様です。メキシコ国旗の真ん中にある図柄ね。
さて、5センターボは2種類しか持ってなかった。
恐ろしく古い、1959年の。これも数字はなくて、文字のみで5センターボとわかる。メキシコは文盲率がまだ高くて、だからメキシコシティの地下鉄の駅名なんかもシンボルでわかりやすくしてある。なのに、このころはそういう配慮がなかったんだねえ。右は、今も使えるやつだけど、今日調べたところ、これはもう鋳造されていないらしい。インフレ、前ほどひどくはなくなったとは言え、じわじわ進行してるから、5センターボなんてもうあんまり価値ないのかもね。
これまでのセンターボ硬貨、それぞれの大きさ比較のためにまとめて写してみた。
古いのがでかくて、新しいのほど小さい。小さすぎて扱いにくいくらいだよw 右2列は使える。10センターボも銅貨のがあったんだけど、私の手持ちにはなかった。最近ほとんど見かけないしね。
さて、ペソに行きます。
いきなり100ペソ。
100ペソは、現在ほとんどお札で、このコインは特別なやつ。だから大事に取ってたんだけど、これだけで300ペソかあ……。円に換算したら1600円くらいだけど、二人でレストランでちょっといい食事ができるくらい。死蔵しておくのももったいないかなあ? でもこれ出されたら、お店の人びっくりすること間違いなし。
そして、下の段の真ん中が同じ(と言っても旧ペソの)100ペソ。でもこれしかなかったので、左に旧500ペソ、右に旧50ペソを置いてみた。500ペソなんて、今なら結構な大金だけど、旧ペソだから、たったの50センターボw 切ないねえ。右端のは5センターボ。ま、使えないから換算も意味ないけど。
さて、お次は20ペソ。
左から、1980年、1985年、そして現在。使えるのは右端のみ。これはデノミ前の硬貨が二つで、その大きさと材質の違いから、価値の暴落ぶり=インフレがよくわかる。
次、10ペソ。
これも同じく、左二つがデノミ前。1981年のは、七角形! 面白い。メキシコの新旧コインのなかでも円形じゃないのはこれだけの様子。5センターボ(現行)も、縁に同じ感じの五角形が刻んではあるけど、硬貨自体は円形だしね。
5ペソ。
左三つが旧ペソ(1972年、1981年、1985年)。右端だけが新ペソ。旧ペソの暴落……。ちなみに左から二つめは、縁に七角形が刻んであるタイプ。
次、2ペソはなくて*2、1ペソ。
これも、左二つがデノミ前。昔の1ペソはでかかった……。今じゃこれでも0.1セ(以下略)。面白いのは、デザインが変わっても、旧1ペソの人物はモレーロスのままってところかな。
というわけで、現行コインを大きさ比較のために集めてみた。
このうち、上段の100ペソと20ペソは、もうお札に取ってかわられて、ほとんど見かけない。特に20ペソは大きさもデザインも10ペソと紛らわしくてあんまり評判よくなかった様子。
ところで、貯め込んでいた20ペソ硬貨に、何種類かあるのに気付いた。どれも同じ大きさで、今でも使えるんだけど(真ん中のは普通のやつだしね)、注目は左端。「N$20」と書いてある。これは旧ペソがまだ流通していた1993年のものだから。あのころは、すべてにこの「N」が付いていて、0が三つ減ってもけっこう煩わしかった。そしてみんな、頭のなかでゼロを三つ足して換算してたw まあでもそれも、2年ほどで完全に移行するんだから、意外といけるもんです(メキシコでも!)。
そして右端は2000年記念のオクタビオ・パス硬貨。パスはノーベル文学賞をもらったメキシコの詩人。他にも、何かというとメモリアルコインに使われている様子だけど、私が持ってるのはこれだけ。
使われている人物(メキシコ史上の重要人物)やら、マヤやアステカのモチーフなど、詳しく見ていくとそれもまた面白いんだけど、キリがないので今回はすっ飛ばしました。お札もいろいろデザイン変わってて、今もちょうどあれこれ新しいのが出始めてて、その変遷も面白いんだけど、キリがないので(以下略。
最後に、この中でいちばんでかいコインといちばん小さいコインを比較。
この100ペソコインは、オリンピックメダルかッ!ってくらいでかくて重い。こんなの持ち歩きたくないねえ。そして、すでに上で見たように、いちばん小さいのは5センターボじゃなくて10センターボなのだった。
しかしセンターボ硬貨、これからますます小さくなっていったりして? この10センターボは直径14mmだそうな。重さは1.755gで、1円玉より重いけど。100ペソ硬貨は直径4.0cm。
ちなみにこの100ペソ硬貨は、鋳造局の470周年記念(1535-2005)だそうです。470年前はどんなコイン作ってたんでしょうねえ(まだスペインの通貨だった時代)。
あと、昔ヨーロッパをうろうろしたときの各国コインもあったりして、あのころはユーロじゃなかったので、いっぱい余った。今はそれを思えば便利になった気もするし、コレクターにとっては面白みがなくなったのかもしれないなあ、などとも。しかしこういうの、捨てたら怒られそうだし、誰か買い取ってくれないもんですかねえ?