気まぐれエッセイ@メキシコ

不定期に適当な文章をつづっていきます(現在バヨ中心)

飛行機の旅は波乱万丈(2)地球は丸い編

 さて、緊張しまくった二十歳の一人旅でようやくたどり着いたドイツも、ビザの問題で3ヵ月後にいったん日本に戻ることになったのは、前に書いたとおり。ドイツから日本への往復チケットを買ったわけだが、たぶん旅行代理店でできるだけ安いのを探してもらったんだと思う(よく覚えてない)。

 日本のどこに向けて飛んだのかももう覚えてないけど、とにかく私のなかでは、ドイツー日本の飛行機は北回りでアンカレッジで給油(ロシアがまだソ連だったので)しか存在してなかった。子供のころ親と一緒にドイツ往復したときもアンカレッジで、熊の剥製があったのをはっきり覚えているくらい印象強かったからかもしれない。

 

 あー、ちなみに、ドイツで家族と2年暮らして日本に帰るときの飛行機のなかで、私(小学3年生)はなぜか鼻血を出した。上を向いて鼻を押さえるんだけど、もう止まったかなと思って手を離すと、まだ出る。んで、アンカレッジに着いたんだけど、弟と父親は飛行機を降りて、私は母親に付き添われてがらーんとしちゃった飛行機のなかに残ってた。しかし出血は止まらなくて、上を向いてたもんだから、鼻血は実は喉から胃へと流れ込んでいて、溜まっていた血を私は吐いちまった。吐くという感覚もないまま、口からあふれ出た感じだったので、もう、その場で。飛行機の旅のための一張羅(当時はきちんとした服装で飛行機に乗ったもんです。今はジーパンにテニスシューズだが)が血まみれよ……。これが私の最古の飛行機の旅のトラブルだったかもしれないw

 

 さて、ドイツ大学留学からわずか三ヵ月の里帰りのとき。デュッセルドルフからだったか、フランクフルト経由だったか、後者かもしれない、とにかくいよいよ20時間のフライトという飛行機に乗り込むとき、ちょっと、あれ? と思った。その違和感が何だったのかももう覚えてないけど(記憶あいまいですいません)、でも間違いなく日本に行く私の飛行機だし、とそれだけは確認して乗り込んで、あとはひたすら時間つぶしに専念。

 で、途中着陸しますってアナウンスがあったんだが……そこは香港だったw え、なんで香港? 私、飛行機乗り間違えた? でもそんなことあるわけないし、東京行きのはず、そのはず、間違ってないはず。香港の空港は行ったの後にも先にもそのとき一回きりだけど、飛行機がぐんぐん高度を下げていって、窓際席で外を見てると、えええええーーーー海に突っ込むーーーーー! と思ったとき、飛行機の胴体の下にはちゃんと滑走路があったらしい。どすんと地面にぶつかる衝撃。はーやれやれ。

 そこから飛行機はさらに日本に飛んで、無事に家に帰りついて、「飛行機、南周りの香港経由やったわー、あはは」と言って、心配性の父親に呆れられ、がっつり怒られた。我ながら、一回目の一人旅の緊張から一転して、二回目はいい加減すぎやろとは思ったけど、でも地球は丸いのだ。北に飛ぼうが南に飛ぼうが、西でも東でも、到着するのが日本であればいいのだw

 

 時はとんで2010年、もうメキシコにすっかりなじんでいたころ、母親がドイツに行く話に便乗することになった。私はメキシコから、母親は日本から、ドイツで落ち合って、そのあと一緒に日本に行って、そしてメキシコに帰ると、私は地球一周するコースを考えたんだけど、飛行機って片道切符は高いのよねえ。往復と同じくらいする。結局、メキシコから日本に往復を買って、日本からドイツに行くのがいちばんいいということになった。

 私が最初の一人旅でドイツに行ったのが1986年(あ、歳がバレるw)、その年にいったん日本へビザを取りに行って、それから4年後だったかに、ドイツの大学で日本の学士に相当する試験を終えたので(でもドイツではそれは卒業にならない)、ちょうど講義とかも暇な時間ができて、いったん休暇で日本に帰ったけど、そのときのフライトが何だかものすごく長く感じて苦痛だったので、その後日本に行くことをずっとためらってた。勉強も忙しかったしね。そして、そのままドイツからメキシコに引っ越しちゃって、日本には結局14年帰らなかった*1

 2010年の日本周りドイツ旅行は、それから数年に一度くらいは帰るようになって何度目かの日本行きだったかな。でもそこからドイツへのコースは、20年ぶり。そしてそのあいだにソ連は崩壊してロシアになって*2、もうアンカレッジを回らなくても、ロシア上空を飛べるようになっていた。初のロシア上空。これがすごかった。

 日本はもちろん、ドイツもけっこう狭い国にいっぱい人が住んでいる。メキシコはそれに比べるとだいぶ広くて(日本の5倍、人口は同じくらい)、人がまるでいないところはたくさんあるんだけど、そういうところでぼーっと星空とか眺めたくても、「山賊が出るからダメ!」とか言われて、車で走り抜けるだけ。残念だー。まあそれでも、車で走っても走っても人も、人の痕跡もない(道路以外)大地ってのは、あー地球もまだ大丈夫かもな、と思える。

 が。ロシアはその比ではない。何しろ飛行機だから、車から見るのとは見える風景のスケールがぜんぜん違うのに、ひたすら雪原雪原雪原。まあこんだけ雪で覆われてたら、人も住めないだろうけどさw

 

 そのときの写真を載せておきます。

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 これは、まだ山脈とか川とか見えて、地形がわかるくらいのところ。でもさらに行くと、

 

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 もう、ただただ広がる雪原。これ、雲海じゃないですよ、きれいに晴れ渡った地表です。

 たまに、なんじゃこれ、って造形もあった。

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 不思議なうねうね模様。きれい。

 このときの、行きはずーーっと昼間を飛んでいるので、こんな風景を延々と飽きずに眺めてた。帰りも期待でわくわくしてたんだけど、残念ながら帰りはずーーっと夜だったw

 

 地球っておっきいねえ。前人未踏の地なんて、まだまだあるんだろうね。こんな、だーーーれもいない雪原を、馬(普通の馬じゃなくて、足がぶっ太くて毛がもしゃもしゃ生えてるの)でひたすら走ってみたいなー、凍え死ぬかもしれないけどw、死んでも絶対見つからないよねw 馬がかわいそうだからやりませんけどねw

 飛行機の旅は、こんな風景見るだけでも楽しい♡

 

 でも飛行機の旅のトラブルはまだまだあるのだ。続く。

*1:浦島のゆえんです。これがたとえば2004年から2018年の14年間帰らなかったとかだったら、ネットあるし、浦島にならずに済んだかもだけど、1990年から2004年だからねえ。

*2:ソ連だったころは、領空侵入で撃ち落とされたとかいう旅客機があったりしたよね……。そんな時代でした。